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ファイバーゲートのビジネスモデル

 当社のビジネスの根幹は、大きく次の3点に集約することができます。第一に、当社は最終ユーザーに最も近い場所に位置する法人に向けて、キャリアとユーザーの最後の数十メートルを無線で繋ぐB2B2Cモデルであること。第二に、自ら市場を創出できるニッチ市場に特化していること。第三に、ストック収入とフロー収入の二本柱を有すること、の3点です。

 B2B2Cモデルに注力するのは、大規模な投資が必要でない一方、情報の最後の数十メートルを個々人の端末へと繋ぐことのできるインフラソリューションへのニーズは強く、その潜在市場規模は莫大であると考えるためです。いわば「広く浅く」、面での展開を想定しています。ちなみに、対極にあるのが最近注目されている5Gの普及に伴って広がりつつあるモノとモノを繋ぐM2M/IoTと言えるでしょう。これらは投資規模も大きく使用するテクノロジーも非常に高い水準が要求されるビッグプロジェクトとなりますが、その数は個々人単位のものと比べると限定的であり、いわば「狭く深く」、点での展開と位置付けられます。当社はあくまで人との繋がりをリアルに実現していくという領域に注目していきたいと考えています。

 ニッチ市場への特化は、当社の強みを最大限に活かすために不可欠な視点です。通信キャリアには長い歴史を有する企業が多く、また日本を代表する巨大な企業も存在しています。しかし、その結果として、現在世の中に浸透している既存のローカル通信システムは、採算面での制約から一定水準以上のマス(規模)が要求されるのが実態となっています。一方、歴史の短い当社がこの市場で存在感を高めていくためには、細やかで軽快なフットワークと斬新な発想によって市場を切り拓いていくしかありません。ニッチ市場はこのような視点で独自性を発揮できる領域であり、既存キャリアと競合しない分野での展開となります。言い換えれば、ここにこそ当社の存在意義があると考えています。

 ストック収入とフロー収入という考え方もまた、当社にとっては非常に重要です。ストック収入とはお客様からの利用料収入や機器のレンタル収入などと当社では定義しており、フロー収入とは初期回線設置時に関連する売上を指します。言い換えれば、フロー収入は都度都度のビジネスとなるのに対し、ストック収入とは安定継続的なビジネスということになります。お客様に対しては、回線設置に伴うフロービジネスがまず入口として存在し、回線設置後はその利用料をいただくというストックビジネスに移行するという仕組みです。フロービジネスにおけるお客様の積上げがストックビジネスの基盤となるため、新規顧客の開拓がまさに成長の原動力となり、基盤の強化は経営の安定化に寄与するという構造です。そして、経営の安定化を図ることができれば、さらに新規顧客の開拓に経営資源を振り向けることができるという好循環にも繋がります。通信事業者としては新規参入組であり、大手キャリアとは一線を画す独立系である当社においては、如何にこの好循環サイクルを確立し、素早く展開していくか、経営戦略上のカギを握ると考えています。

 なお、当社はレジデンスWi-Fi事業とフリーWi-Fi事業の2つの事業セグメントを展開しています。しかし、これはお客様別に分類したものであり、ビジネスの根幹という観点では両事業とも共通しています。そういう意味では、当社の事業構造はかなりシンプルと言えるのかもしれません。当社ビジネスの付加価値の源泉や成長への仕組みは、上記の根幹が担っているといっても過言ではありません。

 そして、このビジネスの根幹を具体化したものが、製品開発力、価格競争力、認証技術力です。これらは当社の強みであり、差別化ポイントであると位置付けます。例えば、当社ではWi-Fiに関連するサービスを一気通貫で提供していますが、これによって設計・設置、保守や修理、さらにはトラブル対応に至るまで窓口を一つに集約でき、お客様の利便性向上を図ることができます。当社においても、提供する付加価値の最大化が実現できるうえ、お客様のニーズを的確に把握することで魅力ある製品やサービスの開発力をさらに引き上げる糸口となっています。

 また、一般消費者向けのサービスを提供する以上、価格競争力は不可欠です。当社はファブレスメーカーとして、設計やプログラミングは自社で開発しますが、製造組立は他社に委託する体制を採っています。これにより、付加価値は自社で維持したまま、最もコストパフォーマンスの高い委託先を常時選択することを可能としています。併せて、設計もユーザーの使い勝手にこだわり、余計な機能を極力排除して低コストの実現を目指しています。

 最後に、最も重要なのが認証技術力です。当社は高度な認証機能を供給できる数少ない企業の一つであると自負しています。アクセス情報の識別管理は当然として、トラッキング情報の収集分析やリダイレクト設定まで当社では対応が可能です。この分野は「通信の安全性」といった観点からも今後より重要となっていく技術の一つであることは言うまでもありません。根幹と位置付けるビジネスの要諦を長期的に維持していくためにも、この領域では業界最先端を走り続けなければならないと認識しています。

 これらビジネスの根幹をより強固にするためには不断の努力が必要です。「広く浅い」B2B2Cモデルの市場規模が莫大であることは、それだけ新規参入者が多数押し寄せる可能性があるということです。ニッチ市場への特化は、新たな市場創造へのハードルが日々高まっていくうえ、それを進めれば進めるほど経営効率が低下する可能性も否めません。ビジネスとしてフローが先行するということは、資金繰り面でタイトな状況が継続するということを覚悟しておく必要もあります。当社は現状に慢心することなく、市場の動向に目を配りつつ、ビジネスの根幹を最大限に活かす施策を臨機応変に実行して参りたいと考えています。