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2019年6月期 本決算報告

2019年8月9日、当社は2019年6月期(以下、当期)の決算を発表いたしました。当期の売上高は、前年比37%増の54.46億円、経常利益は同74%増の8.86億円となりました。売上高、経常利益とも3期連続で過去最高を更新しております。経常利益率も16.2%にまで上昇し、こちらも過去最高を大きく更新いたしました。直近の予想に対しても、売上高、経常利益ともに超過達成となっています。

売上の好調はレジデンスWi-Fi事業の伸長が牽引いたしました。当期の新規契約戸数は5.5万戸超を達成し、累計戸数は21万戸弱まで積み上がりました。これにより、全戸一括型マンションISPシェアも上昇したと推定しています。また、フリーWi-Fi事業についても、公衆無線回線設置への社会的ニーズが強まっているという追い風もあり、当期は約16,500アクセスポイントを積み上げ、累計では6.3万アクセスポイント弱に達しました。

その結果、当社の定義する「ストック収入」(お客様からの利用料収入など)は前年比で1.5倍に拡大し、また、「フロー収入」(初期回線設置時に関連する売上)も新規顧客の順調な増加を背景に同1.3倍となりました。ストック収入の増加ペースは着実に加速しており、フロー収入を入口にストック収入を積み上げていくという当社のビジネスモデルが順調に機能してきていることが確認できます。

損益的にも、売上好調のレジデンスWi-Fi事業が増益の柱となりました。営業利益は前年比で約3.8億円の増加となりましたが、このほとんどがレジデンスWi-Fi事業によるものです。これにフリーWi-Fi事業の増収効果も加わり、企業規模拡大に伴う全社費用の増加を吸収し、大幅増益を達成いたしました。

財務状況に関しては、期末の有利子負債残高が23.8億円と、減少に転じました。これに業績拡大効果も加わり、当期末の自己資本比率は37%まで上昇しています。必ずしも安全性が十分と言える水準ではありませんが、これまで財務体質の強化が喫緊の課題であった当社にとっては大きな改善であると受け止めています。有利子負債の減少を実現できた背景には、フリーキャッシュフローの改善があります。当社のビジネスは先行投資負担が重いという特性があり、回収期に移行するまでは、すなわちストック収入が確立されるまでは一旦資金が持ち出しとなってしまう構造にあります。しかし、当期はストック収入の拡大により、通期ではまだ若干の赤字が残りはしたものの、フリーキャッシュフローはほぼ収支ゼロという状況まで漕ぎつけることができました。遂にフリーキャッシュフローの黒字化、つまり財務体質強化フェーズへの移行に目途がついたものと捉えています。

四半期別の業績を見ると、当期第4四半期は前年同期比で3.2億円(30%)の増収、0.2億円(55%)の経常増益となりました。季節的に第4四半期は不需要期となる傾向が強いものの、そういった中、順調に業績の拡大を実現できたと受け止めています。業績拡大の牽引役はやはりレジデンスWi-Fi事業でした。

これを受け、2020年6月期(以下、今期)は売上高で69億円(前年比27%増)、経常利益は10.6億円(同20%増)の達成を想定しています。順調にこの見通しを達成できれば、過去最高の更新は4期連続となり、これまで中期計画としていた2021年6月期の目標(売上70億円、経常利益13億円)に前倒しで迫ることになります。不透明要因も多く、決して容易に実現可能な目標とは言えませんが、着実に見直しを図りながら、さらなる上乗せを目指してまいりたいと考えています。

事業セグメント別には、主力のレジデンスWi-Fi事業で順調な拡大を想定しています。今期は累積契約戸数が27.6万戸に到達することを前提に、前年比24%の売上増、同8%の営業利益増を予想しています。また、フリーWi-Fi事業では、アクセスポイントが8.8万箇所にまで増加することを前提に、前年比36%増収、83%営業増益を想定しています。これまでフリーWi-Fi事業はレジデンスWi-Fi事業に比べて伸び率で後塵を拝してきましたが、公衆無線回線設置の機運が高まるのにしたがい、今後はアクセスポイント数の増加ペースが加速してくるものと予想しています。その結果、今期はフリーWi-Fi事業が増益を牽引する見通しです。ストック収入・フロー収入といった分類では、今期はストック収入で前年比34%、フロー収入で同18%の拡大を見込んでいます。引続き、当社のビジネスモデルの中核を担うストック収入は着実に積み上がっていくものと考えています。

なお、この業績見通しにおいては、固定費の上昇というコストアップ要因を十分に考慮しました。具体的には、エンジニアの採用やシステム投資といった通信技術関連費用に加え、営業人員の増強、さらには基幹システムの拡充や管理部門の強化といったガバナンス強化の費用です。技術革新のスピードが速い通信業界において技術力の確保・強化は当然ですが、通信という社会インフラを扱う企業として自社内の情報管理や危機管理を徹底し、リスクを最小化できるガバナンス体制の構築を急ぐ方針です。今期はコストアップ要因となりますが、長期的にはこういった取り組みこそが企業の持続的成長に資するものと信じています。

また、現下の業績拡大ペースを受け、中期計画についてもローリングを行いました。新たに、2022年6月期には売上高で96億円、経常利益で17億円の達成を目標に掲げることといたしました。これを実現するために、レジデンスWi-Fiの契約戸数では43万戸超、フリーWi-Fiのアクセスポイント数では16万アクセスポイント超をそれぞれ達成したいと考えています。同時に、当社がスローガンとして掲げる「Alternative Carrier(一気通貫型の代替キャリア)」構想の実現に向け、お客様のニーズに着実に、かつ一歩先んじて対応し、より一層優れたサービスの提供を継続して参る所存です。気を引き締め、目標の達成に邁進してまいります。